芹沢文学ガイドブック Guidebook

芹沢文学ガイドブック

芹沢光治良という作家について

本コーナーは、芹沢光治良作品「人間の運命」と「神シリーズ」を
中心にまとめた“芹沢文学ガイドブック”です。

芹沢文学は最も取り組みやすい日本文学のひとつであると思います。
その理由は「誰にでもわかる言葉」で書かれているためです。
優れた作品を書く作家は何人もいますが、
誰にもわかる言葉で書く作家はそう多くはないような気がします。
誰にでもわかる言葉で、無言の神の代弁者として書くという氏の姿勢は、
幅広い年齢層、職業、階級にこだわらない多くの人たちに受け入れられています。
私感ですが、作家には光の作家と影の作家と二通りあるように思います。
神の代弁者たろうとした氏はまぎれもなく光の作家であり、
その作品は幸福への鍵を持ったものばかりです。
フランスで実証主義を学んだ精神を生かした明瞭で感情的でない文章でありながら、
人間への深い洞察と愛を感じさせる文章はほかの誰に書けるものでもありません。
これから芹沢氏の作品を読まれる方は、
子供のような素直なこころで向かってほしいと思います。
そうすることで文章の奥に潜んだ愛情や真理が鮮明に浮かび上がってくるからです。
特に文学好きの方や知的な職業に就かれている方は自分の物差しを外すように注意して読んでいただければと願います。